奈良一人旅
8月23日〜8月26日、三泊四日の旅。

といっても、列車内泊二日の旅で、宿を取ったのは一日のみ。
23日の夜に出発し、24日の朝に関西入り。
2日間で歩く奈良、京都。
初めての一人旅の結末はいかに。


てくてく行程一覧。

旅の始まり18切符ムーンライト九州で関西へ、 広いぜ法隆寺魅力的なミロクの中宮寺、アシュラだ興福寺
ちょっといっぷく浮見堂、意外と穴場?奈良市写真美術館
お堂の天井もチェック、新薬師寺、今日の宿は奈良かすがのユースホステル

朝から東大寺・二月堂、どこにある?鼻の穴。東大寺・大仏殿
仏フェロモン全開!東大寺・戒壇院、仏像グッズにめろめろ奈良国立博物館
仏像写真なら、飛鳥園、奈良を後にし広隆寺
京都駅(旅の終わり)


回ったお寺と拝観料一覧(お寺のリンクは上記の記事と同じです)
法隆寺 中宮寺 興福寺 新薬師寺 東大寺・二月堂 東大寺・大仏殿
東大寺・戒壇院 奈良市写真美術館 奈良国立博物館 飛鳥園 広隆寺 拝観料







2001/08/22 (WED)

『ビバ! 青春18きっぷ』



きっぷのいい、切符の使い方

今回の旅に欠かせないものとして、
青春18きっぷがある。
青春18といいつつも年令は関係なく、
心が青春しているならOK!してなくてもOK.
全国のJR線および宮島航路を一日中乗り放題、
という切符が五日分で11,500円。
一日あたり、2,300円以上電車に乗ればもとが取れる、というわけだ。
しかし、それは普通・快速列車のみに言えることで、新幹線・寝台特急などは含まない。
あまり役に立たないのでは、と思うことなかれ。
時間とお金を節約したいのなら、ムーンライト九州という夜間快速がある。
夜(21〜22時)に九州を出れば、朝(6〜7時)に関西に着く。
使う切符は往復で四日分。(夜に出発すると、列車内で日付が変わってしまうため)
繁盛期の一部をのぞいて、全席指定。
                   地域によって値段が変わるが、私のところからだと、
510円の指定席券を買うことになる。
         切符代を合計すると10,220円ということになろうか。
          18きっぷの嬉しいところは一日中使えるところで、朝、関西に着けば、
そのままその切符を使って乗り放題できることだ。

 それでは、旅のはじまり、はじまり。



2001/08/23,24 (THU,FRI)

『福岡から関西へ』


ムーンライト九州の乗り心地はいかに

バイトの帰りの夜のホームで
「あれ、うるさいよな」と、バイト先の先輩が言っていたムーンライト九州に乗った。
   「次の日、乗るんです」とは言えなかった。
まぁ、確かにうるさかったから。明日がちょっと心配だ。

出発当日。
朝から、夜まで旅行の準備と最終確認。
をやっていたはずなのに、祖父が「大阪で乗り換えたほうがいいんじゃないのか」と
夕ご飯を食べているときに言ったものだから、私はあわてふためいた。
そんなこと一度も考えたことがなかったのだ。

私のプランはこうだった。
九州を出、京都まで行き、京都で乗り換え、奈良へ行く。
しかし、地図を見ると大阪で降り、環状線で下り、最初の目的地、法隆寺を目指すほうが早そうだ。
時刻表を見てみると、30分ぐらい短縮出来るし、何より往復に違う道が使えるというのが魅力的だ。
うし。
ポケットサイズの時刻表と明日の朝食は駅で買って、列車の中で時刻表確認だ。

私の旅行の予定はかなり強行スケジュールだから、列車に乗る時間というのがとても重要だ。
でも、時間の規制がない旅行をするときより、わりと計画が立てやすいのかもしれない。
初心者だし、お金はかけたくないし。

貸し切り状態のバスに乗り、夜道を駅に向かう。
駅のコンビニで明日の朝食を調達し、キオスクで小さな時刻表を買う。
にやにやしながら待っていると、ムーンライト九州がホームに入ってきた。
ちょっと古めかしい。
灰色のシート、窓際の席だった。乗ってみると案外うるさくない。

アナウンスが満席を告げるが、ところどころ空いているところが見える。
帰るときに分かったのだが、九州から京都に行く途中に降りる人もいて、
その席に乗ってくる人もいて、空席になる時間帯もあるが、
使用される、ということで満席なのかな、と思った。
わけのわからん説明だ。

窓の外はどこを走っているか分からない闇。
列車内にあるトイレは普段使わないので、入ってみるとおもしろかった。
つかまる手すりが前と横にあり、流すスイッチは足の下にある。
水が止まらないので、少しあせる。スイッチがうまく入りすぎていたようだ。

席をたおして眠るが、一向に眠れない。一時間しては目が覚めるというかんじだ。
横の女の子も眠れないようだ。
朝、だんだんと白んでくる空。
河川敷では、犬の散歩などをしている人が見える。
朝焼けに染まる雲が綺麗だった。

姫路の駅では、あれが白鷺城か?という城壁をみた。城が見えなかったから、違うのかもしれない。
神戸は坂のイメージが強かった。上の方までいろんな建物がよく見える。
隣の人には迷惑だが、朝食を取った。洗面と歯磨きも、いそいそとすませた。

6:25分。大阪で降りる。
環状線に乗り換えるため、ホームを移動し、列車を待つ。
朝だというのに人が多い。列車に乗り込んで、天王寺まで行く。途中、大阪ドームを見た。
他にも大阪には不思議な建物があったけど名前を知らないので「何じゃ、ありゃ」ってなかんじだ。
7:00。天王寺で大和路線に乗り換える。
これは奈良方面に行く列車で、乗るとだんだん緑が増えてくる。
いよいよ、最初の目的地、法隆寺へ。





2001/08/24 (FRI)

『法隆寺』


どこまであるのだ、広すぎるっ!

JR法隆寺駅から、駅でもらった地図と道にある看板を頼りに歩くこと20分ちかく。
1,5キロほどを朝から歩く。看板が裏道にも多いので、わりと迷わない。
何だか順調じゃないか、自分。出だしは好調、ってか。

法隆寺の入り口らしきところに辿り着いた。「お寺どこ?」が正直な感想だった。
両脇に松がつらなる長い一本道のむこうに、かろうじて門らしきものが見える。
腕時計を見れば、まだ朝の八時すぎ、前も後ろもだれもいやしない。
両脇の食堂の人たちが少しばかり店の外に出て来てはいるが。
「歩くよ、歩くわよー」(小声)
お参りの作法としてなっていないのかもしれないが、一点透視ができそうな一本道で写真を撮り、
てくてくと歩く。と、ようやく南大門に辿り着いた。

南大門を抜けると、さらに整えられた道があり、その先には五重の塔と木造建築物が見える。
緑に囲まれた法隆寺が目の前にある。
やっぱ、ここのBGMは、ごーんと荘厳なやつだろう。
すごい、大きい。きれいだ。
横に感動を伝える人がいないのが残念だけど。

修学旅行に行った方ならご存じだろうが、法隆寺は東と西に別れている。
南大門から入って真っすぐのところにあるのが西院伽藍の中門、中に入ると五重塔、金堂、大講堂などがある。
東には救世観音を安置する夢殿がある。
のだが、春と秋(4月11日〜5月18日・10月22日〜11月22日)にしかその像を見ることはできない。
けれど、西院伽藍・大宝蔵院・東院伽藍(夢殿)の共通券は一千円。ばら売りはナシ。
つくづく修学旅行っていい時期にあるよなぁ。紅葉も見頃やろうし。うんうん。

五重塔のうつくしさ。
                               金堂のなかに入ったけれど中の仏像が見えにくい。懐中電灯を持ってくればよかった。
でも、見えないほうがいいのかもしれないしなぁ。
使っていいのかも疑問やしノノ。係の人もいるし。駄目かしら?
前に読んだ本にライトを当ててみよう、っていうのがあったんだけど。

  西院伽藍から少し歩いて、大宝蔵院。
古いかと思ってたら、自動回転式扉だ。早速、一本取られた。
中は博物館の展示室といったかんじで、ガラスのケースのむこうにずらりと仏像が並ぶ。
玉虫の厨子はこんなに大きかったのか。
百済観音の背の高いこと!しかもスマート!
本や写真で見たのとは違う。
大きい!!
もうコレしか言うことがない。

心はお腹いっぱいになったけど、歩きまわってお腹が空いたので、境内にあるベンチでおやつを食べた。
といっても朝の残りだ。
ハトがわさわさと寄ってきて、静かにくれくれとねだっている。

無言の圧力。(でもないか)

ドーナツのかけらを下に落とし、西院伽藍の北西にある西円堂にも足を延ばしてみる。
円堂と、いえども八角形なのは、なぜ?

また中門の前に戻り、夢殿にむかって白壁に沿って歩く。
ここら辺の学生が五重塔を横目に見ながら通り過ぎて行く、日常。

夢殿もまた八角円堂であり、救世観音以外の像を見る。

法隆寺は広い。





2001/08/24 (FRI)

『中宮寺』


ミロク?にょいりん?ほんとに木製の仏像?

道が分かるか心配だった中宮寺は夢殿のすぐ裏にあった。
ちょこっと奥に入ると中宮寺の門が見えてくる。
ここには見たかった仏像、如意輪観世音菩薩半跏像がある。
といっても、私の認識としては弥勒菩薩なわけで、心のなかでは「ミロク〜」と叫んでいたりする。
(醍醐寺の展覧会で見た如意輪観音とは姿形がまったく異なるので)

昭和に建てられたというお堂はがっしりとしていて、靴を脱ぎ、階段を昇ると、
そこには座敷と、その奥に仏像がまつられている。

正直言って、私はどうもこの仏像がうさんくさいなぁなどと、ばちあたりなことを考えていた。
木でできているくせに、銅像みたいなところがあたたかみが感じられないような気がしたし、
頭に付いている髷(まげ)が丸いボンボンのようなのも気になった。
後で調べたところ、銅像みたいに見えたのは白黒の写真のせいで、ボンボンは昔、本当にあった髪型なのだった。

実物はカラー写真のように木目を出してくれず、やっぱり、白黒写真みたいな銅像っぽさで私の目の前にあった。
係の人が二人の見学者のために解説テープを流してくださる。

聞きながら顔をその方向に向けている私たちは、後ろから一体どんなふうに見えていたのやら。
私はかなり、にやにやして解説テープに相づちを打ちながら見ていたのだが。

この出会いは感動的だった。見学者が一人帰り、私は一人で仏像を見た。

仕合わせって言葉はこういうときに使っても良いかもしれない。

そしてまた歩き、JRの法隆寺駅へ向かう。





2001/08/24 (FRI)

『興福寺』


アシュラく〜ん!

JR法隆寺駅からJR奈良駅まで乗り、
駅でもらった地図を頼りに、興福寺への道、三条通りを歩く。

道の両脇には色々な店が並び、歩いているものを飽きさせない。
興福寺が近付いてくると、お土産屋さんもいろいろだ。
買っとけば良かったな、と後悔したのが修学旅行名物「しかのふん」だったりするのだが、
それだけをレジに持っていく勇気がなかったので仕方がない。

興福寺の五重塔を見上げるベストスポット、猿沢池もぐるりと一周してみる。
柳越しの五重塔がとてもきれいだ。
塔を見上げながら朝の残り(また)のドーナツをこれまたぬるくなった紅茶で胃に流し込む。
新しいペットボトルを手にし、南円堂への階段を上る。
ここも八角円堂だ。

どでかい五重塔(古塔の全国二番目の高さらしい。約50メートル)の横にある、
東金堂をさっと見て、国宝館にゆく。

ここには何といっても阿修羅像があるわけで、昔、父が阿修羅を見たといっていたのがくやしかった。
しかも私の好きな伊達政宗の像の下で写真なんかも撮っていたりして、つくづくいやな男である。
まぁ、それはおくとして。

阿修羅像は期待を裏切らなかった。
はるばる九州から来たかいがあった。
お腹が少しぷっくりしているのが気になるわ、と出会いの恥ずかしさをまぎらわしたり。
瞳に力があって、表情がとても好きなのだ。

国宝館の出口でモノクロ写真(ブロマイド!)とポストカードとしおり(全部アシュラ関連)を購入。
ほくほく。

いや、他にもいろいろいい像があるのよ、
国宝館には…。(説得力なし)





2001/08/24 (FRI)

『浮見堂』


浮かれきった私をおそった恐怖

興福寺を出て、地図を広げていると人力車のお兄さんがやってきた。
お断わりしたのだが、親切にも浮見堂までの道を丁寧に教えてくださった。
ありがたや、ありがたや。

そしてまた歩く。
                       浮見堂の近くには、鹿がいっぱい住んでいる。
そんななか、道の右脇に車、真ん中に鹿。
その左脇にすき間。
通らねば向こうへ行けない。

雄鹿とアイコンタクトを取りながらそろりそろりと脇をすりぬける。
くるっと振り返られツノが!

という事態にはならなかったけど、どきどきした。

鹿はよく分からない。

池の中に浮かぶように建っているお堂のなかに足を踏み入れたとたん、
ハトがいっせいに飛び立ち、私の寿命がまた縮んだ。堂のなかはハトの置土産でいっぱいだ。
かろうじて座れそうなベンチの上にはハトがいて、いつ爆弾を落としてくるか分からない。
私のあとにカップルが来たけれど、ハトは私が散らしたらしく、何の音もしなかった。

一人だけ、どっきりに引っ掛かったみたいでくやしい。
おそるべし、浮見堂。
  (夏はサルスベリがきれいなんだけど)




2001/08/24 (FRI)

『新薬師寺』


男のからだの仏像もあります

写真美術館から先ほど来た道を戻ると、ここが?って気のするお寺がある。
それが新薬師寺だ。門の前の小さな小屋のところにいる係の人に拝観料を払い、門をくぐる。

本堂の白い壁がまぶしい。
そちらに行く前に入って左手にあるお地蔵様を見にいく。
そのあと本堂の、のれんのようなものをくぐると、そこには十二神将と薬師如来がある。
時計盤の6のところに薬師如来、それ以外に十二神将が外向きに並ぶ。

十二神将は「えと」をあらわしてもいるから、自分の「えと」の像を探して眺めてみる。
像の足元に何か一言書かれてあって、気になったので二周した。
天井を見上げると、木の組み方がすごく綺麗だった。

おたま地蔵尊(男の人のものを持っている!)は頼めば見せてくれるらしかったのだけど、
勇気がなくて頼めなかった。
見せられたとしても、何といって良いやらな、気もするので。





2001/08/24 (FRI)

『奈良市写真美術館』


のどかなところにさりげなく。

浮見堂から志賀直哉旧居の前を通り、ユースホステルの前を通り、
新薬師寺の前も通り過ぎ、奈良市写真美術館へ向かう。

景色はすっかり変わって、たんぼがあり、民家があり、ののどかな風景。
そんな中にわりあい目立たない格好でその建物は、ある。

入江秦吉という人をさっぱり知らなかった私が、「るるぶ」でこの美術館を知り、
ポストカードはお土産になるかもしれない、などと思って旅行コースに入れていたのは、
まぁ神のみぞ知る、ということで。早速入ってみる。

一階は喫茶店のような場所があって、入場券がなくとも入ることが出来る。
展示は地下で行なわれ、入江氏が撮った写真がずらりと並べてある。
阿修羅もあった気がする。
この手がいいのよ!とか、この切り取り方よ!とか思っていたような。

館内にあるハイビジョンギャラリーでは、美しい映像が楽しめる。
私はもっぱらここで疲れを癒していた。
三人くらいが入れる個室にゆうゆうと座って映像を見て、
地元の写真倶楽部の人たちがやっている写真展も見た。
ポストカードは、鹿の親子と阿修羅を一枚。

もう何も言うまい。

時計を見るとチェックインまで間がある。
行けないかもしれない、と思っていた新薬師寺に行ってみようと思った。





2001/08/25 (SAT)

『奈良かすがのユースホステル』


ごはんがうまい!初めての相部屋体験

朝・夕付きで、一泊5985円!(会員だと、もう千円お得)
しかも、新しい!(外観と共有スペースと二階)

二階の一室に案内される。
(二階には2〜3人用の洋室が二部屋ある)
部屋は相部屋でベットが二つ、テレビにテーブル、ソファーとエアコン、一式が揃っている。
一人暮らしの部屋みたいで楽しい。
一階には和室が二部屋くらいあり、お風呂は共同で男女別で一つずつ、トイレも別れていたような気がする。

夕食は宿のおかみさん(というべきか)が作った手作り料理で、
朝も昼もろくなものを食べていなかった私はお腹いっぱい頂いた。おいしかった〜。

食堂、というか居間にみんなが集まるので、話を聞いていると何をしにきたのかが分かって面白い。
木簡の復元作業(?)のアルバイトにきた大学院生や
ドイツ人の友人と一緒に奈良の観光にきた高校生や、
鎌倉から来た先生とかいろいろで、皆濃い。
私何かまだまだだ。

夜は、ベットにもぐったまま、相部屋になった方といろいろお話して、
横になって眠れることの喜びを噛み締め合った。(夜行バスだったそうで)

定員は11名。HPもあり、メールで予約ができます。(私はそうしました)





2001/08/25 (SAT)

春日大社・『東大寺二月堂』(二日目)


朝から迷う。その先には?

朝ご飯の前に散歩に出掛けた。朝6時10分ごろの出発だ。
リュックを背負っていないので体が軽い。春日大社の方へ行く道を選び、
木がわさわさはえている原生林の薄暗い道をぬけると、手向神社という所に出た。

いったいどこだ。

原生林がうす暗くて怖かったので、走ってそこにたどりついた私を迎えたのはYHに泊まっていた方だった。
少しの間ご一緒させてもらって、今度こそ春日大社の門の前に出る。
すると、門がちょうど開かれるところだった。
なんか、めでたい。

やしろには釣灯篭がずらりとぶらさがっていた。
どこまで入って良いのか分からないので、さらっと見て先に行く。
石灯篭が両脇に並ぶ道を下って、大きな道に出る。
子鹿がぴょんぴょん跳ねながら私の前を横切っていった。
可愛いのなんの。

道は正しいのだろうか。
なかなか東大寺に着かないなぁ、と思っているとようやくそれらしきものが見えてきた。

何、あれ!?

おっきいよ!!

それは東大寺南大門だった。

朝はまだ大仏殿が開いていないので、門から入って右手にある二月堂を目指す。
ゆるやかな勾配の階段を長々と上っていくと、三月堂の近くに出る。
あれか!と思ってさらに急な階段を上っていくと不動明王をまつってある別のお堂で、
なぜかここでまた先程の方と会う。
春日大社で別れて、私の方が先にそこを出たというのに
なぜなんだろう、と思いながらも、共に二月堂を見にいく。

二月堂をたとえるなら、清水寺の縮小版みたいな造りといったら分かるだろうか。
斜面に面してお堂が建っているので、お堂の一部が張り出しているのだ。(清水寺は見たことないんだけど)

階段を昇って、張り出した部分の方に足を踏み出したときは少しどきどきした。
     おまいりそっちのけで、奈良の風景を見る。
左手には興福寺の五重塔の先端が緑のなかから顔をのぞかせている。
右手には遊園地らしきものも見える。

ここでお水取りがあることを、ミステリーを読んで知った。
柿の葉寿司も白洲正子もそれで知った。
タイトルは『海のある奈良に死す』有栖川有栖。
もう一回読んでも良いかもしれない。

正倉院まで歩こうかと思ったが、朝食の時間が近付いてきたので急いで帰る。
近道も見付けた。が原生林の道でまたどきどきする。
この道であっているんだろうか、と。

帰りついたのは、7時40分ごろで、皆ほとんど朝食を食べおわっていた。
(7時30分から朝食)





2001/08/25 (SAT)

東大寺・『大仏殿』


三度目の正直。

ううん、二度あることは三度ある、だ。
またあの方に会う。東京から来たことや、今日帰ることを聞き、旅の無事をお互いに祈って別れる。
嬉しい出来事だった。

九時ごろの大仏殿前は朝の七時ごろよりも人が多い。
鹿も観光客からえさをもらっている。
私はそれを見ている。

大仏殿の敷地内に入ると、あまりにも大きな大仏殿に私は驚いて、感動した。
そして写真を撮りまくる。

中に入ると大仏を見上げ、天井を見上げた。
一月一日に大仏の顔のところの窓が開くということを聞いたので、
どうやって開けるんだろうと上ばかり見ていたのだ。
左手に天井につづく階段がある。あれを上るのか?
それからは?と、考えをめぐらせていると、大仏の鼻の穴をくぐるのを忘れた。

どこにあったんだろう、鼻の穴。





2001/08/25 (SAT)

東大寺・『戒壇院』


四天王にクラクラ

正倉院を地図で確認して行くと、白い壁があるだけだった。
その前では先生らしき人が、何かの集まりに向かって話している。
この壁の向こうにあるのか、それともこの先の道にあるのか。
どっちみち中身は正倉院展でしか見られないのだから、と思ってぐるりと体を回転させ、来た道を戻り、先へ進む。

戒壇院といってもお堂だけで、拝観料を払って門をくぐると、目の前がすぐお堂である。
敷き詰められた石が白く、光っている。
どこにでもあるはずの木がないので影もない。

ここには四天王像がある。それぞれが四隅に配置されている。
真ん中には塔のようなものがあり、小さな仏像が二体入っている。(これらは模造らしい)

阿修羅の次に見れたらいいなと思っていた、
広目天や多聞天を見る。

この二体の目付き、顔つきが渋いのだ。すんごく。
お堂のなかに差し込む光が像に陰影を与え、
私が近付いたり遠ざかったりするごとに表情が変わっていく。

静かな威圧感。こんな人、いない。
だから仏像なんだ。

お堂を出、その周りをぐるりと回る。裏には草花が咲いていた。





2001/08/25 (SAT)

『奈良国立博物館』


アシュラスタンプ、重宝しました

戒壇院を出て、東大寺の敷地内から出て、大きな道に出る。
地下道にある指示に従って進むと、博物館は目の前だ。
警備員さんや、受け付けの方は皆かなり親切で、裏口では特別展との共通券は買えないから、と
ホールを抜けさせてもらって、表口の売場まで行った。
本当は特別展は遠慮しておくかな、と思っていたのだけど、学割も効くことだし、共通券を買った。
受け付けの方が海外からの旅行者に英語で応対していた。
いろんな人に対応が出来る博物館だ。(どこも同じ?)
博物館には仏像がこれでもかっ!てほどいっぱいある。
それだけでもお腹いっぱいなのに特別展の「仏舎利と宝珠展」も見学してふらふらだ。

入場券を買わなくても入れる地下通路にある喫茶店
(壁なし。オープンカフェってこういうのを言うのかな)の横にある
ミュージアムショップで小さな可愛い阿修羅のスタンプや元気の出る仏像シールを買う。

入江秦吉の写真の「仏像のみかた」という本も買う。
だってさ、形から入ったら、奥まで知りたくなるのが人情ってもんでしょ。(笑)
もちろん阿修羅も載ってるのよん。

まだお昼には早かったので、博物館を出て三条通りに行こう、行ってお土産でも買おう、とまた歩きだした。





2001/08/25 (SAT)

『飛鳥園』



仏像写真も見てみる

三条通りに行く前に、昨日YHに貼ってあったチラシの飛鳥園に行く。
チラシの写真が阿修羅だったことと、博物館と道路を挟んですぐだったことも、
行きたいなと思った理由だ。

仏像写真ギャラリー飛鳥園。

狭いところかもしれないという私の予想に反して、間口は狭いが奥行は深い。そして新しい。

道路近くの入り口から店に入らずに、石畳が延びるまま奥に進むと、かやぶきの屋根の建物が見えてくる。
壁はガラス張りで中に写真が掛けてあるのが見える。

店の中に入ると、喫茶コーナーと写真やポストカードが売っている場所があり、そこにも色々な仏像の写真がある。

創業80年。深い歴史と、新しい建物の融合。

まだ仏像の価値が人に知られていない頃から写真を撮っていたなんて、ドラマチックだと思いませんか?

(話のねたにしようとしてるよ、自分)





2001/08/25 (SAT)

『広隆寺』



旅の終わりはちょこっとブルー

三条通りで柿の葉寿司と昼食を買い、JR奈良駅から京都駅までを目指す。
もちろん、お食事は車内で、だ。こんなんばっかりだ。
まぁ、予定どおりなんだけど。
予定に入れてるぶん、悲しいような。

京都駅では嵯峨野線に乗り換え、太秦を目指す。

ここで初めて迷う。

反対方向に歩いていたなんて、この旅いちばんの大間違いだ。
コピーしてきた地図とにらめっこして、
途中に人に道を尋ねて(関西弁?京都弁?)、なんとか広隆寺にたどりつく。

境内は広く、(法隆寺の比ではないが)カップルも憩いの場所として使っているらしい。
二人でいればどこだって、なかんじもするけど、
そぉんなことは放っておいて、いくぜ、霊宝殿てなもんだ、ちくしょうめ。
(煩悩捨てないよね、自分)


霊宝殿には弥勒菩薩半跏思惟像がある。
木造の、私がいちばん見たかった弥勒。
中宮寺のように仏像の前で解説テープが流れる。
多くの見学者がそれを聞く。


なんで、こんなに弥勒との距離が遠いんだろう。
明かりの下、手摺りから1メートルくらいのところにあるのに。
すごく遠い。目を凝らしても霞んで見えるような。

私は奈良ですばらしく良い環境で仏像を見ていたのかもしれない。あんなに近くに感じたもの。

感動しなくて泣きそうだった。
私が見にきたものはこれだったのかって、感動できない自分に腹が立つ。
独占欲が強いのかもしれない。
人が多くてせかせかしているのが嫌なのかもしれない。

(帰って本の写真を見たらやっぱり良い仏像なんだってことは分かるんだけど。
旅の最後でへとへとだったからなのかも)

不完全燃焼の代償行動のように境内の色々なところを見て、来た道を戻る。

雨が今にも降りだしそうな、車も人も往来の激しい京都。

きっと、一部分しか知らない自分





2001/08/26 (SUN)

『九州へ・京都駅』


お土産は生麩もち

帰りのムーンライト九州までまだまだたっぷり時間がある。
ということで、駅を探険してみることにした。

五時すぎぐらいだったので、駅ビルの上の階のレストラン街はどこもにぎわっている。
今度は地下におりてみた。地下もレストランがいっぱいだ。
抹茶パフェはおいしそうだが夕食にはむいてなさそうだ、
なんてことを思ってふらふらし、外に出る。
奈良ではあったコーヒーとコーラの混ざった飲み物と、
カフェラッテのアイス(コーヒーフロート?)を探して駅周辺のコンビニを4件ぐらい回る。
デパ地下のスーパーにも潜ってみた。
漬物のコーナーが広い気がする。でもない、ない、ない!

郵便局にも足を踏み入れ、切手を買おうかと思っていたけれど、緊急用(?)の窓口しか開いてないのでやめる。

そして、駅ビルの端の方の階段を昇る。後で後悔した。
が、半分昇ったら、降りるか昇りきるしかない。
昇り切った。
はふぅ。

そこからは線路と夜の明かりとビルをたくさん見ることが出来る。
人通りも少ないので、カップルが座っていちゃついても、人が寝泊りすることもできそうだった。
してたし。
(泊まれるかは疑問)

能か狂言かを駅でやることになっていて、ステージの前には人が多かった。
京都駅は宇宙ステーションみたいな、おもしろい構造をしていて(ポストモダン?)
そのなかで伝統芸能をやるって試みがまたおもしろい。

夕食はコーヒーフロートのみ。サンドイッチは売り切れだった。
目の前の大画面には屋久島が映っている。あぁ、行けってことね、行くつもりよ、来年。

お土産を買い、お金の計算もし、ぼうっとしているとようやく列車が来た。

隣の男の子が寒そうにしていたので、タオルケットを貸そうかな、
なんて思っていたのも束の間、彼は0時頃降りていった。

手元からちらりと見えた野球観戦のチケット。
好きなチームが勝ったのか、小さな一人旅が嬉しかったのか、
分からないけど、おもしろかったかな、ねぇ?
私は。

一言で云えないよ。

またも、良く眠れぬ間に駅につき、
お土産に買った柿の葉寿司と生ふもちのあんみつなどを家人と食べて、
惰眠をむさぼった。
そしてまた、次の日からバイトだ。
寝るべし、寝るべし。
そうして、私の旅は終わって、今にいたる。





2001/07/01 (SUN)

『拝観料および入場料』



法隆寺(夢殿・東院伽藍・大宝蔵院共通券) 1000円
中宮寺 500円
興福寺・東金堂300円
興福寺・国宝館500円
浮見堂 無料
奈良市写真美術館学割で、200円
新薬師寺500円
鏡神社(新薬師寺の前、というか隣)無料。
狛犬の写真を撮ったら写っていなかった。
(たぶん近すぎたため)院生とおぼしき男性がお堂の内部の写真を撮っていた。

東大寺・二月堂 無料。行くべし。
東大寺・大仏殿 500円
東大寺・戒壇院 500円
飛鳥園 無料
奈良国立博物館 学割で、450円
広隆寺 700円

しめて、5150円

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